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東京地方裁判所 昭和53年(ワ)2912号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

三そこで原告の契約解除の効力につき判断する。

1 まず被告が訴外日高との間で経営委託契約を締結し、本件建物を右日高に使用させた行為が転貸借に該当するか否かにつき検討する。

<証拠>によると、昭和五二年一一月一日、被告と訴外日高ミツエ間に、被告を経営委託者、右日高を経営受託者とする経営委託契約が締結され、これにつき同日経営委託書(甲第四号証)が作成されたこと、右契約書には、被告は本件建物の内装設備、什器備品類を使用して営む飲食店経営を訴外日高に委託するものであること、経営委託条件は営業成績の如何にかかわらず、定額売上歩合とし、右日高は経営受託料を支払うこと(証人日高ミツエの証言によると一カ月三〇万)、営業に関する諸税その他経営に関する諸経費は右日高が負担する旨の約定記載があり、被告と訴外斎藤かほる間にも右と同様の約定記載のある契約書が交わされていることが認められる。

右に加えて<証拠>によれば、被告が訴外日高ミツエと締結した契約は経営委託という形式をとつているものの、訴外日高は被告から給料を受け取る約束もなく、材料の仕入はもとより本件建物における経営の一切を訴外日高の計算において行い、被告が訴外矢加部を使用して営業させるときには、保証金をとらず委託料として月二五万円を定めたのみで、右矢加部が約束通り右委託料を支払わなくても、強く支払を要求したことがないのに対し、訴外日高に対しては被告に保証金として一〇〇万円を、経営委託料として三〇万円を支払うよう要求し、右日高は保証金として一〇〇万円を支払つたこと、

以上の事実が認められ<る。>

右事実によると、被告と訴外日高との間の契約は、被告において右日高から経営委託料名下に一定金額及び保証金の支払を受けてこれを受領し、日高において飲食店営業のため本件建物を使用収益することを目的とする契約であり、実質的には本件建物の賃貸借(原告との関係では転貸借契約)にほかならないものと認められる。

2 <略>

3 そこで原告の契約解除が認められるか否かにつき検討する。

<証拠>によると、被告は訴外矢加部に代わり訴外日高に本件店舗の経営を任かせるにつき、右日高に対しては被告が原告から賃借している事実を秘して自分の店であると称して店の経営を勧誘し、後日被告が原告から賃借していることが判明するや、右日高に対しては日高が被告から賃借していることを話さないよう口止めし、原告からもし聞かれたら雇われマダムであると答えるよう指示したこと、以上の事実が認められ、右事実に、前記で認定した、被告が原告より転貸につき事前に承諾を得ていない事実並びに原告が契約を解除するに至つた前記認定の経過を併わせ検討すると、被告は経営委託という形態をとるにせよ、それが転貸借にあたるかぎり原告の承諾しないものであることを十分に知りながらかつ、原告から再三転貸を中止するようにとの要請があつたにもかかわらずこれを無視し、訴外日高に転貸した後、訴外斎藤かほる、同沼田祐子へと順次転貸していつたものと認められ、(訴外斎藤かほる、同沼田祐子に対する転貸は、原告代表者尋問の結果によりこれを認めることができる。)もはや原、被告間には信頼関係は破壊されたものとみるのが相当である。

したがつて原、被告間の賃貸借契約は昭和五二年一一月末日解除されたというべきである。解除後の損害金は前認定のとおり、賃料一三万円の倍額であるから、二六万円である。

(日野忠和)

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